読書

三島由紀夫「愛の渇き」

新潮文庫の三島は全部読んだので、40年近い時を超えて、再読であるbook

話題にのるとしても1970年の割腹自殺しかなくなった感のある三島だが、やはりメロドラマの天才であるimpact

メロドラマを書かせて三島由紀夫に並ぶのは川端康成くらいである

粗筋はいたって簡単happy01

主人公は夫を亡くしたばかりの悦子、30代

直ぐに夫の実家に入り込み、義父と関係するも若い使用人三郎に惹かれ日々悶々

やがて同じく使用人の美代が受胎、相手は三郎

嫉妬する悦子、どうにもなすすべもない義父

天理教信者の三郎が大祭に行き留守の時、悦子は美代を解雇する

やがて三郎が戻ってくるが、美代がいなくなっても三郎少しも慌てるどころか白い健康な歯をキラリと見せて若くはじける肉体に汗をかき何事もなかったよう

訳わかんなくなった悦子は、深夜葡萄園に誘い出し詰問

自分は美代なんか愛していないとヘラヘラ

愛しているのは奥様ですとヘラヘラ

つまり三郎はなぁ~んにも考えてはいないのよ

一人悦子が愛だの生き甲斐だのこねくり回して空回りしていただけ

三郎に抱きつかれた悦子は叫ぶ

鍬を持って駆けつける義父

その鍬で悦子は三郎を殺害

老体にむち打ち穴を掘って三郎を義父は埋める

渇いた愛の結末はとんでもない終焉となる・・・

はてさて、顴骨堕胎というか、意味不明というか、ここまでして粗筋書く必要があるかは別にして、まあそんなモンですよ・・・、そんなモンだと思いなさい・・・

読んでみた人でなければわからないずぶずぶの三島メロドラマに心底浸れますって・・・

そして・・・

汚れを落とし返り血を洗い、二人は床につく

この辺から最後の半ページこそ三島由紀夫真骨頂であるので引用

「・・・・・ともするとはじめて悦子に許されたこの短い安らぎのあとに、彼女は目を覚ました。彼女のまわりには深い闇がある。柱時計が陰鬱な重たい一秒一秒を刻んでいる。かたわらには八吉(義父)が寝もやらずおびえている慄えている。悦子は声をあげようともしない。彼女の声は誰にも届きはしない。強いて見開いた目を闇の中へ向けた。何も見えない。

 きこえるのは遠い鶏の鳴音である。まだ夜明けには程とおいこの時刻を、鶏が鳴き交わしている。遠くの、いずこともしれぬ一羽が鳴く。これに応ずるように、また一羽が鳴く。また一羽が鳴く。また一羽が鳴く。深夜の鶏鳴は、相応じて、限りをしらない。それはまだゆづいている。際限なくつづいている。・・・・・・・

 ・・・・・・しかし、何事もない。」

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山本一力「あかね雲」

朝青龍万歳!

小沢一郎はどうでもいい!朝日め、さざあみろ!

検察はなんで面曝さないんだ!

・・・typhoon ・・・typhoon

「あかね雲」

直木賞、面白いよhappy01

でも、「あかね雲」の直後に、泰淳の「ひかりごけ」を読んだせいですっかりかすんでしまった

でも、この雲はささくれだった気持ちを静めようと思って読んだのだけど、効果てきめん

「善い人」達の登場は、真冬の夜のおでんであるよ・・・weep

だがしかし、山本さん

どうしても許せないimpact

最後にヤクザの親分が登場、強面ぶりを発揮し窮地を救っちゃう・・・っていうの

他の著作にも見られるけど、どうしても我慢ならないね、あたしゃannoy

「筋の通ったワル」

世の中こいつが一番始末悪いんだよannoy

筋の通らない『善人』(朝日)もどっこいですがねannoy

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ささくれ立っちゃったねcoldsweats01

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武田泰淳「ひかりごけ」

読み返した・・・book

と言っても高校生だか浪人だったか40年も昔だから忘れているよと思いきや・・・

衝撃的だったんですね、読み進むうちに高校生だか浪人だったかの自分にどっか戻っていたらしいtyphoon

どの辺がと言われても、40数キロしかなかった体重ではないwobbly

戦時中、軍の徴用船が難破し、北海道の洞窟で船長が3人の船員を食べたという話し

これは実際にあった実話をもとにしているのだが、話しの核心部分は戯曲として書かれている

武田泰淳言う『読む戯曲』、『上演不可能な戯曲』として、第一幕はマッカウス洞窟の場、第二幕が法廷の場

この第一幕の洞窟の中で、飢えの極限状況での人間同士が食い食われるという異常事態の戯曲が東北弁で書かれている

泰淳はこの戯曲に至る話しの中で、わかりやすい解説もしてくれてる

「野上弥生子女史の『海神丸』も、飢餓に迫られた海上で、死を眼前にひかえた船員達の演ずる殺人劇を精密に描写しています。『海神丸』では、船員の一人が肉を喰う目的で、他の船員を殺害しますが、ついに喰うことはしないのです。・・・ ・・・」

「大岡昇平氏の『野火』に於いても、主人公たる飢えた一兵士は、仲間から与えられた人肉(日本兵の肉)を口までは入れますが、ついに咽喉(のど)より下へは呑み下すことをしないのです。この一兵士は、無意味に土人の女を撃ち殺したりしている男ですが、『僕は殺しはしたが、食べなかった』と、かなり倫理的に反省しています。

 ペキン事件(本書の事件)、『海神丸』、『野火』を総合して整理すると、飢餓の極に達して、しかも絶対にそこから脱けられなくなった男達の犯す犯罪は、次のようになります。

 一、たんなる殺人。二、人肉を喰う目的でやる殺人。三、喰う目的でやった殺人のあと、人肉は食べない。四、喰う目的でやった殺人のあと、人肉を食べる。五、殺人はやらないで、自然死の人肉を食べる。

 この五つを比較すると、二は一よりも重罪らしい、四は三よりも重罪らしい、ただし一つまりたんなる殺人と、五つまり、殺人はやらないで自然死の人肉を食べるのと、どちらがより重い罪かとなると、そんなひかくが馬鹿馬鹿しくなるほどむずかしい問題になってしまいます。

 人間を殺すこと、人間の肉を食べること、この二つの行為が、どこかおのおの異なった臭気を発散することだけは、感覚的にわかります。

 何故異なるかと考えつめると、理由はごく簡単である。殺人の方は二十世紀の今日、きわめて平凡で、よく見うけられるが、人肉喰いの方はほとんど地球上から消滅しつつあるからです。」

殺人は慣れっこになっているが、人肉食いとなると「たとえどんな条件下で発生しようと、身ぶるいがするほど嫌悪の念をもよおす。「殺人は『文明人』も行い得るが、人肉食いは『文明人』の体面にかかわる。わが民族、わが人種は殺人こそすれ、人肉食いはやらないと主張するのは、優秀民族、先進人種と錯覚しているのだ。『野火』の主人公が、『俺は殺したが食べなかった』などと反省しているのは、明らかにこの種の錯覚だ・・・

このように泰淳は文明人批判めいた話しを展開をした後に、戯曲に入っていくのだが、役者のついていくつか注文をつける

 船長 (読者が想像しうる限りの悪相の男)

 西川 (美少年)

こうして第一幕

最初に死んだ船員五助を船長と西川が喰う

同じ船員八蔵は喰うのを拒否して死んでいく

このとき死の間際の八蔵が、五助を喰って後悔してる西川に言う

 西川 おら、恥ずかしいだ。

 八蔵 恥ずかしがるのは、おめえが悪い人間でねえ証拠だよ。

 西川 お、おめえは喰わなかった。

 八蔵 おらは、五助が死ぬ前に、(喰わないって)約束しただよ。約束さえしなきゃ、おらだって喰っただよ

約束は守らにゃねsign01

そして衰弱しきった八蔵

 八蔵 おめえの首のうしろに、光の輪が見えるだ。

 西川 おめえの目のまよいだべ。

 八蔵 うんでねえ。昔からの言い伝えにあるこった。人の肉さ喰ったもんには、首のうしろに光の輪がでるだよ。緑色のな。うっすい、うっすい光の輪がでるだよ。何でもその光はな、ひかりごけつうもんの光に似てるだと。

十日後、八蔵の肉は喰わなかった西川衰弱

 西川 おら、死んでもおめえには喰われねえように、してみせるだ。

 船長 何しるつもりだ。逃げるんか

 西川 うんだ。

 船長 何もそったらムダなことしるこたねえだ。どうせおっ死ぬなら、ここで死ねや。な、後に残るもんの身にもなってみろや。

 西川 おら、海にはまって死ぬだ。おめのてのとどかねえところで、死ぬだ。

 船長 何でそったら意地わるいことするだ。おめえはもっと、素直な男でねえのかよ。

 西川 おめえに喰われるくれえなら、フカに喰わせるだ。(よろめきつつ、銛をてにして上手より退場)

 船長 西川よ。待てや。そったらもてえねえこと、するもんでねえだ。西川よ、待たねえか。俺をひぼしにして何になるだ。(西川を追いて退場)

この第一幕の最後から、第二幕の法廷の場に移る際に役者について細かな注文をつける

この注文は重要であるsign01

「船長は、、第一幕に扮した俳優とは別の俳優によって演ぜられるのが望ましい」

「第二幕の船長は、全く悪相を失って、キリストの如き平安のうちにある。そして何よりも大切なことは、船長の顔が、筆者を案内してマッカウスの洞窟へ赴いた、あの中学校長の顔に極似していることである。」

「第二幕の船長は、野性的な方言ではなく、理知的な標準語を話す。それは、第一幕の船長が『我慢すること』」を、野性的にしか理解できなかったに反し、第二幕の船長は、それを理知的に感得していることを示す。」

本の導入部は筆者が、羅臼の洞窟へひかりごけを見に、中学校の校長に案内されたところから始まっている

そして第一幕では、船長は西川の人を食ってどんな気持ちかとの問いに答えている

 船長 俺は我慢してるさ。我慢できねえこっても、我慢してるさ。これだけ我慢するな、容易なこってねえさ。

 西川 我慢してるだけか。

 船長 誰も何もしてくれるわけじゃなえ。なあもかんも、自分ひとりで我慢しなきゃなんねえさ。我慢ということの中にゃ、なあもかんも入っているさ。・・・・・・。何のために我慢しるか、わかんねえでもしるのが、我慢だからな。

裁判においても、検事の質問にたいして船長は「我慢」を口にする。

検事だけではなく弁護人とも平行線の交わらない応答の末、自分の首の後ろのひかりごけの光に似た光の輪を見ろという。

人の肉を喰ったものには首のうしろに光の輪が出来る

人を食った者にはそれが見えない

船長にはそれがあるはずだ

裁判長、検事、弁護士、傍聴人、みんなが見ようとするが見えない

しかし、そこには大勢の光の輪があった

 「船長 見て下さい。よく私を見て下さい。

  (船長を囲む群衆の数増加し、おびただしき光の輪、密集してひしめく)

  (「みなさん、見て下さい。」の船長のさけびつづくうち、幕静かに下りる)

船長は観客である私達に叫んでいたのであるねshock

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ついでにこんなのも見つけたので、ご参考にと思って・・・

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箒木蓬生「千日紅の恋人」

箒木蓬生、ははきぎほうせいと読む

好きな作家ですhappy01

どの小説も真面目な文体で、真面目な話しを真面目に書く

登場人物も真面目である

奇を衒った嘘臭い展開など全くない

丁寧に送りバントをするように着々とストーリーが流れていく

しかし読書中に受ける感動は深く、読後感は爽やかでもある

かつて長編「逃亡」を読んでいた時、真夜中であったが布団の中で嗚咽を超えておいおい泣いてしまったcrying

「白い夏の墓標」、「三たびの海峡」、「ヒトラーの防具」などどれも素晴らしい

精神科医でもあるので、精神医療にかかわる問題や老人問題を題材にした本も多いが、題名が示すとおり、この本はとってもゆるいお話です

亡くなった父親が建てた古いアパート「扇荘」の管理人をデイサービスのヘルパーをしながら続けるバツ二の時子

今でもこんなアパートがあるのか知らないが、毎月家賃の集金をする

アパートの住人の殆どが、普通のアパートなら間違いなく退去させられているような「おかしな人達」

徘徊や異常行動、刃傷沙汰にまでなる夫婦喧嘩、様々な生活事情を抱え込んだ入居者達・・・

時子は、近所の住民からは苦情も言われながら、大家の役割を超えて世話をやく

スーパーに勤める年下のもの凄く真面目な青年有馬が入居し、やがてプロポーズを受けるが時子は断ってしまう

有馬が本社へ転勤するのでアパートのある土地から離れなくてはならず、毎月の集金だけくればという有馬の提案に頷けなかったからだ

「扇荘の管理は単に月一回顔を出せばすむものではなかった。何かが起こるたびに駆けつけなければならない。隣組の常会もある。時子が会合に出られなくなれば、苦情と文句は直接入居者に向けられる。そうでなくても、扇荘の内輪だけでもゴタゴタは起こるのに、外からの圧力がくわわるとこちこたえられなくなるのは明らかだった。」

扇荘というアパートが、ハンディキャップを背負わされた人達が生活する現代の社会の縮図でもあり、時子の置かれた立場と、それに日々立ち向かう姿は、私達への問題提起でもある

アパートをつぶして駐車場にでもして、若い有馬と新たな人生を送ることも出来るのである

時子のかたくななまでのアパート扇荘への思い入れは、父親の形見を守るということ以上に、社会的背景が広がっている

お話は有馬が本社移動を拒否し、再び戻って再プロポーズheart04・・・

ま、言っちゃえば他愛もない、ゆる~いお話なんですけどねぇ

ま、ま、真面目だからねhappy01

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阿刀田高「こころ残り」

どんでん返しもない、おとなしいお話

12話まである短編集だけど、9話でやめちゃった・・・

あと三つに面白い話しがあるかもしれない

こころ残りであるchick

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表紙のような色っぽいこころ残りの話しがあるかもしれないのに、次の文庫本を手にしてしまった

こころ残りであるchick

これは、紛れもなく阿刀田高の仕掛けた罠に違いない

まんまと嵌ってしまった

こころ残り、ではないが・・・

残糞感があるpunch

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足立倫行「錦の休日」

「長期休暇に望んだ課長達」と副題がついている

昭和63年、まだ立石電気と言ってた頃のオムロン

四十代後半、管理職昇格後6年目の全社員を対象に最低1~3月間の長期有給休暇を与えると発表した

時はバブル景気に突入後のことで、3代目社長の発案だそうが、1986年(昭和61年)から始まるバブル景気の恩恵に浴した者、あるいは実感として知っている者からすると、何とも懐かしいニュースである

とにかく日本人は働き過ぎだと大騒ぎしした割には、まだ、週休2日が定着せず、隔週で土曜日休みとかやっていた時代である

私は1986年に独立して、六本木で会社を起こしたのだが、仕事しなくても儲かったので始めから週休二日、だけど人は集まらなかった・・・

大手は内々定を出しーの、ハワイへ連れて行きーの(懐かしいcoldsweats01)、人材確保に躍起だった時代である

そういえばヘッドハンティングなんてのもありましたわなsoccer

オムロンに続き大手企業は長期休暇制度を次々導入したようである

本書は最初、平成3年7月(1991年)にPHPから出版された

中味は全部、オムロンの長期有給休暇(リフレッシュ休暇というそうだ)を取得した管理職社員がどのように長期休暇を利用したかについて書かれている

モチロン勝手に休んでいい訳ではなく、予定を記した申請書を出し、キックオフ・ミーティング、クロージング・ミーティングを行うなんざ日本的でお宜しい

利用内容も海外旅行の割合が年を経過するごとに次第に減少し、それぞれにあった個性的な休暇を過ごせるようになった(油絵、切手収集、四国お遍路、陶芸、能面打ち・・・)、休暇中会社への連絡は厳禁・・・など、これだけ読んでいると、何ともお羨ましいというのが実感

宝くじで1億円とまではいかない、せいぜい1千万円当たったらどうするかみたいなのと似ている気がする

「1ヶ月も休んだら、出社した時デスクがないんじゃないの」

「2ヶ月も会社と連絡なしだったら、戻った時は浦島太郎だね、取り戻す苦労の方が恐ろしい」

これも昔から言われた正直な実感

バブル崩壊後、こうした制度はドンドン失われるどころか当のオムロンも早期退職を募る始末

更に昨今の景気悪化・失業率の増加はこんな長期有給休暇が夢物語かとも思えるね

頭を使って有効に休暇をいかに過ごすのか、そもそも休暇なんだから「有効」なんぞ考える方がおかしいのか・・・

「休日の過ごし方が下手くそだ」と批判するのは簡単であるね

休暇は難しいモンだ

仕事しているのが一番楽で、休暇っぽい・・・sweat02

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山田詠美「快楽の動詞」

短編なんだかエッセイなんだか

快楽の動詞、否定形の肯定、駄洒落の功罪、逆説がお好み、文体同好会、口の増減、ベッドの創作、不治の快楽というお題

私はセックスが上手いとあちこちで吹聴している山田さんは、セックスを語らせたら当代随一である

だからセックス話じゃないお題の話しは、どう贔屓目に読んでもメッチャクチャつまんない

ウダウダ話しの連続で、村上春樹かとも思われるくらい最低であるdown

しかし、そうじゃない、殊セックス話じゃ俄然面白くなるup

「ベッドの創作」

ベッドでの同じセックス動作をA:直裁的、B:「文学的」と分けて記述しているのだが、セックス話ナンバーワンの山田さんにかかるとため息が出そうなくらいである、と言ったら大袈裟であろうか?・・・

大袈裟であるpunch

長く引用すると、ため息とか色々漏らしそうな人もいるかもしれないので、チョットだけよぉン

「〈A〉

 男は女の耳許に唇を寄せた。欲しいんだろ、もう我慢が出来ないんだろう?入れてやろうか。女は、ふりしぼるように、ちょうだい、あなたの太い○○○○を、私の○○○○に入れてっ!!お願い!!とせがんだ男は、ぐいと一気に貫いた。女は、その上品な顔を苦悶に歪めて、男の背に爪を立てて、男の肉棒を締め付けた。女が、いくっと叫んだ瞬間男も、我慢できずに、自らを放出した。」

   

「〈B〉

 音尾は女の耳許に唇を寄せた。そこでため息は組み立てられ彼女の名前になる。彼女は、しばらくの間、薄目を開けて彼の顔を見る。死んでいるのか生きているのか、もうわからないわ。彼女の言葉に彼は頷く。生と死の境目など必要なのだろうか。こういう場合に、私たちは、かつて生きていた。そして、これからも生きるのだろう。けれど、そんな事実が意味を持たなくなる瞬間が、このシーツの隙間にあるのだ、と彼女は思った。吐息で語り爪あとで記録する。ただそれだけを切望して、彼女は、目を閉じ、彼を受け止めた。」

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高杉良「社長の器」

まずは文庫本の裏の一文

「兄は、冷酷非情な多国籍企業の総帥、弟は、従業員の幸福を第一に考える中小企業の経営者。血を分けた兄弟でありながら、器量も経営理念もまったく異なる二人の確執は、弟の政界進出によって、決定的なものになった。そして、弟の路半ばにしての急逝ーー。その壮絶な戦いのドラマと、胸を打つ家族愛を描いて、真に理想の経営者像に迫った、高杉経済小説の白眉!」

書いてあることはずいぶん違っていて、兄はミネベアの高橋高見、弟は民社党の代議士だった高橋高望(たかもち)。二人ともとっくにお亡くなりになっている

高杉良の小説なので、事実もほぼこの通りなんでしょう。名前は変えてあるが日産自動車のドンと呼ばれていた労働貴族・塩路一郎もご登場

塩路はもっと思いっきり悪者だったはずだし、ミネベアの高橋高見は、実際の人物像からすると少々こぢんまりしているようだ

それでも、先に死んだ弟の財産収奪にカタカナタイプで打った長文の手紙を送りつけるっていうのは、かなり恐ろしいshock

数ページほど出てくるが、読みにくいわ苛つくわ、こんなの手紙貰ったひには気持ち悪くて、しばらくは活字が見れないよpunch

いわゆる経済小説として今ひとつ面白味に欠けるのは、多分事実の方が百倍面白いはずなので致し方ないところ

いろんな見方も出来るところが面白いところとも言えるが、一つ、ここには「会社は誰のものか?」という理念だけではすまされない現実問題が大きな問題となって出てきている

「会社は株主のもの」といういわば自明の理からすれば、冷酷非情な兄の経営者としての行為は当然であり、それを非難すると「あんたは甘いよ」と言われかねない

「温情主義的経営」っていうのはそもそも会社経営じゃないのだろう

能力主義とは対極にある終身雇用を制度として会社運営の基盤に据えるのは、競争激化一方の昨今、競争力の低下にも繋がりかねず、命取りでもある

でも、終身雇用を一つの理念として個人・組織・会社全体の能力向上を図るならば結構強い会社になるんじゃないの

これを温情主義的経営といってもあながち間違いじゃない

だけど、これはせいぜい数十人の零細企業にしか当て嵌まらない

何故かって?

あだ名のように「社長」と呼ばれている零細企業のバカ社長は、でっかい会社を経営したことないから分からないからよね・・・coldsweats01

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佐伯泰英「ゲルニカに死す」

佐伯泰英はスペイン暮らしの経験があるので、当然にも詳しい描写が多い

逢坂剛のもそうだが、その地の良さが伝わってこないのはきっと私だけであろう

もう、うんざりsad

文庫の裏に書いてある一文

「二十世紀美術の傑作、ピカソのゲルニカが日本にやってくるーーテレビ制作会社元社長・土岐(とき)ものとに、スペインに暮らす恩師から連絡が入った。土岐は東洋テレビに話を持ち込むが、スペイン政府の真意を探ろうと局が現地に派遣した社員が、のどをかき切られて惨殺される。それはスペイン市民戦争時代からの暗躍し続ける殺人集団《三角帽子》の手口と極似していた・・・・・。ゲルニカの過去と現在を結ぶ闇の歴史を照射する長編ミステリー。」

・・・です

物語の全てがゲルニカから始まっていて、作中には1937年、ピカソがゲルニカを描くに至る様子も出てくるので、多少なりともゲルニカ爆撃以降始まったとされる無差別爆撃の悲惨さや「戦争」そのものへの非難めいた話しが底流にあってもよさそうなものだが、ない

・・・です

発端のゲルニカ招聘もテレビ局の開局40周年記念事業の目玉として持ち込まれ、土岐は制作会社を倒産させていて起死回生のネタにしようとしていたのだから、ピカソがゲルニカにかけた意図なんかは商売の種でしかない

曰く、ゲルニカ爆撃がフランコと結託したナチスドイツによる無差別爆撃としての世界史的端緒であり、第二次大戦の始まりとされるなら、広島、長崎はその終わりとして位置している・・・

曰く、現在はマドリッドの美術館に所蔵されているが、まずゲルニカで展示して広島、長崎に招聘・・・

これらはイベント企画の理由付けにはいいが、足元の思想がないモンだから語るほどに薄っぺらな知識の開陳劇で終わってしまう、作中人物に語らせられない佐伯の限界である

歴史を語る人は現在をどう見ているか・・・これは思想ですsign01

オリンピックを広島、長崎にという「イベント企画」は、実現性よりもその意味を考える企画として意味があった

もちろん商売のネタとしても一級品なので、「広島、長崎で儲けやがって」なんて大正論がどっから出てくるか、耐えられるイベント企画屋さんているのでしょうか?

Guernica

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大人買い

毎度のブックオフbook

いつも大体14,5冊位買うのだが、大晦日なので?20数冊、締めて2千数百円

大人買いであるdollar

写真に写っている段階では既に数冊抜かれているが、何を持って行かれたのかは当然不明である・・・think

どれから読もうかと迷うのが、これまた愉しいひとときであるhappy01

中には既に家にあるのも、既に読んだものもあるようだが、想定内である

どうせ忘れちゃってるんだからねsweat02

読みたいと思ったものを読む

これが読書を楽しむ基本原則でしょ・・・think

さて、今年一年ありがとうございました

よろしかったら、また来年もお付き合いのほどを・・・

  年暮れて も一つくれるか 本の刻(とき)

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