桐野夏生「I'm sorry,mama」
桐野夏生「I'm sorry mama」
のっけから67才の元保育士の女と25才年下の男のつつましやか?な結婚生活が出てきたと思ったら、いきなり灯油をかけられ焼き殺されてしまうというワクワクした導入。
犯人は「アイ子」
おぞましい物語の主人公である
何人もの人間を焼き殺したり、絞殺したり、婆さんを風呂場で沈めたり・・・
一度も呼ばれていないが「連続殺人鬼」
何もかもが、まともに見たらグッと下腹に力を入れてないと口から何かが出てきちゃいそうな描写の連続で、とても良い
オジさん好きである![]()
文庫本版解説の島田雅彦はアイ子を「モンスター」と呼んだが、そうなんだろうか?
毒入りカレーの林眞澄美、自分の子供と隣家の子供を殺した秋田の畠山鈴香はイイとしても、給食費不払いの親、子供虐待の親も「ペアレンツ・モンスター」だそうだ
夜中にゴミを出す主婦、騒音をまき散らすオバサンに対しても「死ねばいい」と内心思っている、そうだ
「誰だって瞬間的に殺意を抱いたことくらいある。ただ、自分には守るべき家族や対面もあるから、殺意を抱いた瞬間に、鼻で笑い、寛容さを取り戻すのである。逆に言えば、ここで我に返ったりせずに、アイ子のようにおのが悪意や怨念にのみ忠実に存分に破壊衝動を解き放つことが出来たら、さぞ爽快だろうと思うはずなのである。むろんそれは自己責任を伴わない妄想に過ぎない。しかし、妄想の中ではアイ子のようにな怪物になり、気に入らない奴等を皆殺しにすることもできる。」(島田解説)
ただ小難しく言うだけが取り柄の島田雅彦も、ここでは分かり易く当たり前のことを言うに過ぎない。
「ヒューマニスト」だからだそうだ
「『連中にはモラルなんて説いても無駄だ』とか『本能が壊れている怪物の再教育は困難だ』とヒトはいう。だが、私たちはその怪物の心中を知ることが出来る。なぜなら、私たち自身の中にも怪物か潜んでいるから。それを何とか飼い馴らそうとすること、それが多かれ少なかれヒューマニストである私たちに与えられた義務である。」(島田解説)
なんと分かり易い解説であることか
ヒューマニストだからなのか?
でもこの内なるモンスター論は,誰でもおかしくなるんだよと言っているだけで、昔っから言われている
取り立てて何だというわけではない
でもね、モンスターは飼い馴らすことなんか出来ないんだよ
だからモンスターなんです
でも、こんなことはさほど重要ではない
この本の登場人物全部が、なかなか凄味があってよろしい
その辺の当たり前の人物なんか一人も出てこない
登場する余地がないってとこが、およろしい
ただ「ヌカルミハウス同窓会」はいらないと思います
この娼婦の同窓会は普通っぽくて、よくわかんない・・・
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